「新しい日記をはじめるだなんて、
 また、よしておけばいいものを。」
 その人は言うのである。


「あなたは何を続けても
 長続きなどしない男じゃないか。
 世間に斜に構える態度を貫くこともやめてしまったし、
 同じサインペンを最後まで使い貫くことすらできない、
 あなたはそんな飽き性な男じゃないか。
 割と長く続いた、前の日記も、
 4年でとうとうやめてしまった。
 君が何かをはじめるのは、
 それ自体がテクノロジーとエネルギーの無駄遣いだよ。」
 と。


 その人は続ける。


「せいぜいあなたが貫き愛してこれたのは、
 毎日のように色を変えて世間に流れる音楽と、
 あとはアタシくらいじゃないか。
 こんなアタシですら、いつあなたに飽きられるか、
 少しビクビクしてるっていうのにさ。」


 まったくの話。
 しかしながら、こんな人間でも、
 こんな意味のない嘘と妄想を一人で並べることだけは、
 案外いくつになっても飽きがこないから
 まったくもって不思議なものです。


 その人って誰やねんお前。