今日のおすすめ

 たまには漫画でも薦めようかしら、ということで今をときめく中村光先生の荒川アンダーザブリッジがじわじわ面白い。

荒川アンダー ザ ブリッジ 1 (ヤングガンガンコミックス)

荒川アンダー ザ ブリッジ 1 (ヤングガンガンコミックス)

 『今をときめく』と書いたのは、別著「聖☆おにいさん」があちこちでべた褒めされてて、書店に1巻がなにかと平積みされてるので、早耳なネットピーポーはみんな知ってるかなーと思い。ちなみにこちらの2巻は明後日発売ね。楽しみ。
 さて閑話休題荒川アンダーザブリッジの方に話を戻す。
 とりあえず公式サイト
http://www.square-enix.co.jp/magazine/yg/introduction/arakawa/
 からあらすじをひっぱってきましょうか。

とっても不思議な人々が住む場所、荒川河川敷。そこで一つの恋物語が始まります。人に借りを作れない青年と自称金星人のホームレス少女。そしてそれを見守る本当におかしな住人たち。彼らの愉快で笑える日常を描いた、一味違う電波系ラブコメディー!!

 ・・・とりあえずどたばたしてそうなギャグ漫画なのはわかるけれど、で?って言われると、まあ、うん。まあね。魅力伝えづらい。
 公式サイトのキャラ達を見てると、とりあえずドタバタしそうな人たちが揃ってるナーってのは気付いてもらえると思います。言うなればパプワくんバリの濃そうなメンバー。実際パプワくんばりにドタバタもしてます。
 しかしそれ以上に有り余る魅力としてがっちり心捕まれるのが、名台詞の数々。たとえばね。

『ハートブレイクは分かるわ・・・心が痛いのは仕方ないわ・・・けど何が「失恋」じゃい!1ミリの望みもなくたってこの思いは失わんのじゃ・・・!』

 何だろうこの暑苦しいけれど言葉遊びと哲学に充ち満ちた台詞。これがサッと自然にちょっとしたネタコマに使われてるのよ。良い台詞の無駄遣いにもほどがある。
 そんなギャグ意外に、本筋でもキュンキュンと。「人に頼らない」ことを徹底して教育されてきた主人公リクと、電波でありながらも、そんな考え方を急に悟ったように解きほぐしていく橋の下人々(主に恋人のニノ)とのやりとりが、「人間っていいな」と思わされる強いものに充ち満ちている。
 ある意味「人間不信」のリクが、ドタバタに巻き込まれて楽しそうにしている様は、BUMP OF CHICKENやらRADWIMPSを通った「人付き合い」に何かとまじめに悩むパラノイド・アンドロイドな世代は、もうごっそりとこの辺の言葉回しに心ほだされるんじゃなかろうかコマでいっぱいです。詳しくはぜひ本誌で。まずは立ち読みでいいから。


 しかし、なんでこの人の漫画にこんなにひかれるのかなあ、と色々思ったんですけれど。今の「ギャグ漫画」て『希望』みたいなキレイなのがあんまりないよね、と思うのです。
 例えばジャガーさんとかおいらも大好きすぎるのだけれど、あれはダメな人のダメな部分を徹底的にダメダメ描いてぐずぐずして楽しむモノじゃないですか。それを「まあ、ダメでもいいじゃん!」て希望に捕らえて楽しむこともできるのだけれど、堕落の縁にそこから登るためのロープも何もないっていうか。希望的なものが見えても、「まじめ、かっこわるい!」て笑う、そういうものじゃないですか。
 変な話、そういうのって、一見さんに自信を持って「これいいよ!」て貸せないわけです。某漫画日和みたいに、極端に突拍子もないものもしかり。好きだけどね。そればっかりじゃダメだと思う。


 そういう点で、逆に人にさりげなーく、いいよ!て勧めたいとすごい思うのが、「荒川アンダーザブリッジ」。きれい事が押しつけがましいのが嫌いな人には、あんまりかもしれないけれど、話の落としどころがイチイチちゃんときれい(褒め言葉)。
 突拍子もない話が多いギャグマンガってジャンルだけれど、こんなに常に「あ、なんかいいかも」と思わされるギャグ漫画少ない。これだけ読後感が悪くないって、本当結構すごいことよ。で良いことよ。


 ということで、なんかグダグダ難しそうに理屈を描きましたが、もう単純に言いたいのは面白いよ!荒川アンダーザブリッジ!ニノかわいいよニノ!てことですよ。うん。それだけ。たぶん。